社会人3年目が2018年中に100万円貯金を目指すブログ

100万円貯金に向かって突き進む、カナダと銃と欅坂46を愛する社会人3年目のブログです。

美女と野獣:ミスコンの勇気ある行動

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ミス・イスラエルとミス・イラクの投稿したセルフィーが中東でちょっとした問題を引き起こしているのをご存知でしょうか?

www.bbc.com

事の顛末としては、ミス・ユニバースコンテストのイスラエル代表、サラ・イーダン(sarah Idan)がインスタグラムに、セルフィーを投稿。そのセルフィーは、イーダン氏がイラク代表のアダール・ギャンデルスマン(Adar Gandelsman)と一緒に映っている写真であり、「ミス・イラクとミス・イスラエルから平和と愛を。 #missuniverse」というキャプションがついていました。

しかしこの写真がネットユーザーの間で炎上してしまいました。

イスラエルイラクは国交が樹立されておらず、またエルサレムの帰属問題を含む宗教上・政治上の理由により対立関係にあります(イスラエルユダヤ教国家、イラクイスラム教国家)。

これに関するウォール・ストリート・ジャーナルの社説を読んでみましょう。

◇「美女たちと野獣たち ミス・イラクとミス・イスラエルの自撮りが醜い脅迫を生じさせた」

www.wsj.com

Like most of the Arab world, Iraq does not have diplomatic relations with Israel. Yet no one can prevent friendship from breaking out between people who don’t accept that they must be enemies. Which is what happened at a beauty contest in Tokyo last month when Miss Iraq and Miss Israel took a selfie that was posted on Instagram with the simple caption “Peace and love from Miss Iraq and Miss Israel.”

他のアラブ諸国と同じく、イラクイスラエルとの国交を樹立していない。しかし、敵対関係を望まない人々同士の友情を裂けるものは居ない。昨月、東京におけるビューティーコンテストで、「ミス・イラクとミス・イスラエルより平和と愛を」というキャプションをつけた自撮り写真がインスタグラムに投稿された時にこの事件は発生した。

ミス・イラクのサラ・イーダン氏はミス・イスラエルと写真を撮影したこと、またビキニを着用したことで炎上。今週、イーダン氏の家族は殺害予告を受けたため、イラクを去ることになったそうです。

“She’s a very intelligent girl and she did this so that people will understand that it’s possible to live together,” Ms. Gandelsman told Israel’s Channel 2 News. “In order for people to see that they can make a connection, at the end of the day, we’re both human beings.” Ms. Gandelsman added that because of death threats to her friend’s family, they had to leave Iraq “out of fear.”

「彼女はきわめて知的で、(イスラエルイラクの)共存が可能だと人々が理解してくれるだろうと考え、写真を投稿した」、とギャンデルスマン氏はイスラエルの「チャンネル2ニュース」に答えた。「繋がれると人々に示すために、あの日の終わり、我々は人であった。」ギャンデスルマン氏は、殺害予告のせいで、イーダン氏の家族はイラクを去らねばいけなくなった、と付け加えた。

イーダン氏の投稿は政治的主張をこめたものではなく、イスラエル政府の政策を認めるものでもありませんでした。しかしギャンデスルマン氏は写真の投稿を公開していないそうです。写真はまだ削除されていません。

Good for Ms. Idan. In a region where Israeli athletes are often slighted—last month at a judo tournament in Abu Dhabi officials refused to play the Israeli anthem or fly the Israeli flag after an Israeli won a gold medal—Miss Iraq has shown a better way forward. How much better everyone in the Middle East would be if politicians in the region had the decency and resolve that these two young women do.

イーダン氏はよくやった。昨月のアブダビでの柔道大会で、大会主催者はイスラエル国家の演奏やイスラエル選手が金メダルを獲得した際にイスラエル国旗の掲揚を拒否された。そんな風にイスラエルのアスリートが失礼に扱われる地域で、ミス・イラクは良い道筋を人々に示してくれた。彼女らのような良識と意思を政治家たちが示してくれれば、中東の人々にとtってどれだけ良いだろうか。

 

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芸能の世界に政治的対立を、意図の有無に関係なく持ち込むのは間違っています。

2人のミスユニバースには勇気を示しますし、逆に家族を脅迫する様な人々は軽蔑します。

宗教的対立のない日本ではなじみの薄いニュースですが、世界的にはこういう事件が起きていることを私たちはもっと知るべきです。 

米連邦捜査局 重大事件対応グループについて:About Critical Incident Response Group

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アメリカもののアクション映画や警察ドラマを見たことがある人ならば一度は聞いたことがある、連邦捜査局、通称"FBI"(Federal Bureau of Investigation)。

FBIの中には、緊急事態への対応を専門とした部署があります。

その名も、「重大事件対応グループ」。英語名を"Critical Incident Response Group"といい、通称は"CIRG"です。

今日はこのCIRGについてご説明いたします。

 

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CIRGには、様々な特殊訓練をつんだ特別捜査官(Special agent)や専門職員が所属。危機管理や人質救出、監視、航空支援、危険物対応、交渉、行動分析、戦術作戦を行なっています。

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CIRGは、1994年に、FBIの戦術や危機管理、行動分析などの人員やリソースを統合し、重大事件に素早く対応できる組織作りの為に創設されました。

CIRGのモットーは、"Proventus Per Adparatus"、「準備を通じた成功」です。CIRGはFBIの現場部門だけでなく、州警察や保安官事務所など、米国の各地域におけるカウンターパートに対する様々な人的、戦術的、情報的支援を行います。

CIRGには複数のセクションがあります。ひとつずつ見てゆきましょう。

 

◇航空および監視部門(Aviation and Surveillance Section)

FBIの捜査活動において航空支援や監視活動支援を行い、米国に対する諜報活動やスパイ活動を防止する。

◇戦術作戦部門(Tactical Operations Section)

戦術的な作戦面の支援を行い、あらゆる犯罪事案に対処する。(レスポンス・タイムはおよそ4時間)。麾下に3つの部隊がある。

①人質救出部隊(Hostage Rescue Team、HRT)

→人質救出やテロリズムなど、警察の通常対応能力ではカバーしきれない分野において出動。米軍の特殊作戦コマンドのひとつ、統合特殊作戦コマンド、通称"JSOC"(Joint Special Operations Command)とも連携を行っています。

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②FBI特殊火器戦術部隊(FBI Special Weapons and Tactics Team、SWAT)

→HRTと同じく、人質救出や立て籠もり事件などに出動。アメリカ56のFBI支局にSWATは配備されている。警察や保安官で対処しきれない事態に対処し、州を越えて派遣されることもある。

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③危機交渉部隊(Crisis Negotiation Unit)

→FBIが関与するすべての交渉事案に参加する部隊で、活動範囲は米国内に留まらない。人質をとった犯人との交渉にあたる、ネゴシエーターの集団。

◇捜査・作戦支援部門(Investigative and Operations Support Section)

重大事件や大規模な捜査において専門知識の提供や行動分析、危機管理、即応体制構築の支援を行う。傘下には凶悪犯罪分析国家センター(National Center for the Analysis of Violent Crime)や行動分析ユニット(Behavioral Analysis Unit)などがある。

◇戦略情報・作戦センター(Strategic Information and Operation Center)

FBIの戦略情報、ならびに危機管理や特別事態モニタリングのための情報センター。

◇危険物作戦部門(Hazardous Devices Operations Section)

爆発物などの危険物や大量破壊兵器への対処・対応を専門とする部署で、カウンターパートへの訓練や助言、支援も施す。

◇重大事件インテリジェンスユニット(Critical Incident Intelligence Unit)

作戦立案や戦略的な意思決定に必要なインテリジェンス(情報、諜報)提供を行う。

 

上述の各部門や部隊、ユニットのうち、いくつかは映画やドラマにも登場しています。

例えば、人質救出部隊(HRT)は映画『エンド・オブ・ホワイトハウス』にて、北朝鮮コマンドに占拠されたホワイトハウスの包囲網を構成しています。

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また、ドラマ『24』シーズン7において、ジュマ将軍が占領したホワイトハウスに突入する部隊もFBIのHRTです(隊員のタクティカルジャケットの背中に「CIRG」の文字があります)。

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その他、ボストンマラソン爆破事件をベースにした映画『パトリオット・デイ』においても、MIT学生寮への突入シーンや犯人逮捕の際にHRTが登場します。

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FBI特殊火器戦術部隊(FBI SWAT)はドラマ『24』のシーズン2で登場します。

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日本にはCIRGの様な法執行機関内のエキスパート集団、あるいはFBIの様な全国規模の捜査機関が存在しません。

警察は各都道府県にあり、警察庁はそれらを統括する立場にあります。

交番の制服警官や犯罪捜査を行う刑事、街頭警備にあたる機動隊員、極左集団やスパイの摘発にあたる公安捜査員、立て籠もり事件に対応するSAT(特殊急襲班)は管理官などの幹部クラスをのぞき各都道府県の警察の警察官です(なお、警視庁と警察庁はまったく別物です。警視庁は東京都を管轄する警察で、警察庁は各都道府県を統括する官僚機構です)。

地方の警察で対処しきれない事案に警視庁の機動隊やSATが応援に赴くことはありますが、あくまでも警視庁の警察官が応援として出動しているだけであり、CIRGないしFBIのような横断的な機関の職員が存在するわけではありません。

また、FBIは基本的にアメリカ国内での捜査活動に従事します。外国のスパイ摘発やそれらの情報収集にも従事していますが、CIAこと中央情報局とはまったく別の組織です(CIAはアメリカ国外でのスパイ活動や情報収集に従事しています)。

ですので、ロシアによるアメリカ大統領選挙への介入疑惑や政府高官によるロシアへの情報漏洩疑惑や共謀疑惑はFBIが捜査を担当しています(半年ほど前に、トランプ大統領がFBIのジェームズ・コミー長官にロシア疑惑の捜査中止を要求したのではないか、と話題になりましたね)。

なお筆者としては、日本にはCIRGの様な警察組織内のエキスパート集団は必要ないと考えます。

そもそもFBIはアメリカ国土の広大さ故に存在しているのであり、現状の我が国では各都道府県警察と警察庁の体制で対応できていると思われます。

SATの様な戦術部隊も主要な都道府県警に配置されており、SATで対応できない事案には自衛隊が治安出動を行えば十分対応できるでしょう(そもそもSATはかなりの精鋭集団です)。

以上、FBIのCIRGについて紹介いたしました。

民主主義は死んでいない

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「民主主義は死んだ」ーーー。そんなフレーズを耳にしたことのある人は多いでしょう。

我が国においては、自民党特定秘密保護法や平和安全法制を成立させた折など、一部メディアやリベラル勢力の主張と対立する立法・行政が行われたときにこのフレーズは多用されてきました。

www.jiji.com

例えば特定秘密保護法だね。国会の議論も全然足りなかったし、国民も内容は分からないまま。国民の権利に関する重要法案で強行採決がまかり通り、それでも大きな問題になっていないのは、議会制民主主義が形骸化して死んでしまったということだ。

他にも、アメリカでドナルド・トランプ氏が大統領に選出された時も、「ノット・マイ・プレジデント」というフレーズを標ぼうする人々による抗議活動がアメリカで発生しました。

www.nbcnews.com

NHKをはじめ日本のメディアは「ノット・マイ・プレジデント」運動がアメリカのメインストリームであるかの様に報じていたと筆者は記憶していますが、こうした運動が起きたのはニューヨークやサンフランシスコなどのブルー・ステーツ(民主党が伝統的に強い地域)が中心であり、けっしてアメリカで全国的に起きていた現象ではありません。

それもこれも日本のメディアがニューヨークやワシントンなど主要都市のきれいなオフィス街にしか特派員を置かず、置いたとしても彼ら特派員はニューヨーク・タイムズやCNNなどアメリカの一部メディアの内容を横流ししているだけだからこそ起こる問題なのですが(そしてこの構図が1990年代から変わっていないのも大きな問題です)。

さて、世界的な流れとして、民主主義は死んだのでしょうか?

ウォール・ストリート・ジャーナルにこんなコメンタリー記事が寄せられました。

◇民主主義は死からほど遠い

www.wsj.com

寄稿者のブルース・ジョーンズとマイケル・オハンロンはいずれもブルッキングス外交政策研究所の研究員です。

With recent setbacks in the Philippines, Turkey, Venezuela and elsewhere, it is common to hear laments about the decline of democracy world-wide. Turbulent times in Britain and the U.S. add to the concern, as does the sweeping failure of the so-called Arab Spring since 2011. After major waves of progress in the wake of World War II and the Cold War, is freedom starting to sputter?

フィリピン、トルコ、ベネズエラなどでの諸事象を聞くにつれ、世界的に民主主義の減退を嘆く声を聞くことが多くなった。

イギリスやアメリカに加え、いわゆる2011年のアラブの春の失敗などである。

第二次世界大戦と冷戦をきっかけに起こった(民主主義の)進歩の波の後、自由は終わり始めているのだろうか?

しかしちょっと冷静に考えてみよう、と両氏は問います。

It is true that the “third wave” of democratization—the proliferation of democratic states in the late 20th century—has largely ended. But it has not been reversed by any stretch of the imagination.

20世紀後半に始まった民主主義国家の拡大、つまり民主化の「第三の波」は確かに止まった。しかしその「波」はどんなに想像力を増大させても、ひっくり返されてはいない。

2000年までに、世界の3分の2にあたる国家(およそ120カ国)において選挙制民主主義が成立している、と両氏は指摘します。

21世紀に入ってから逆性の動きはあったものの、その程度は大きなものではなく、アメリカのNGO団体フリーダム・ハウスによれば、「自由ではない」と判定された国家の数は2006年が23%、2016年が25%であるそうです。

しかし、インドやインドネシア、ナイジェリア、ブラジルなどは現状民主主義国家として成立しており、「自由でない」国家に住む人々は過去10年で37%から36%に減少しており、「自由な」国家に住む人々は44%から45%に増加している、と両氏は指摘します。

民主主義はほかの政治制度に勝るものであり、民主主義国家同士が戦争に至ることは無く、(少なくとも国家間戦争に限定すれば)第二次世界大戦以降、世界は人類史上最も暴力を経験していません。

ブラジルでは大統領の弾劾問題がありつつも、憲法にのっとった形が保たれ、インドでも強権的なリーダーがバランス・オブ・パワーのもとしっかりと監視を受けており、何より英国における「ブレグジット」も民主主義的選択の結果である、と両氏は解説します。

そして、以下の様に論稿を締めくくります。

We do need to learn one lesson from history’s recent sobering course: Democracy is fragile and can never be taken for granted. But declarations about democracy’s demise, or even its significant decline, go too far.

歴史から我々は学ぶ必要がある:民主主義はもろく、当然のものと思ってはいけない。

しかし民主主義の崩壊や、その著しい減退を宣言するのは、やりすぎだ。

 

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韓国では、朴槿恵大統領が親友の女性に対し政治上の機密を漏洩したとの疑惑で辞任しました。朴槿恵大統領の辞任を求める国民がソウルに結集(いわゆる「ローソク運動」)しましたが、その数は170万人

www.huffingtonpost.jp

しかし、2012年の韓国大統領選挙の際、朴槿恵候補は約1577万票を獲得し投票しました(本当は韓国政府の統計を引用したかったのですが、韓国語は読めないので、数値はWikipediaより)。

2012年大韓民国大統領選挙 - Wikipedia

朴槿恵大統領を選んだ有権者のうち、わずか10%に満たない人々の「怒り」「市民の声」とやらで朴槿恵大統領は辞任させられたわけです。

ひるがえって我が国でも、特定秘密保護法案や平和安全法制の立法時や、集団的自衛権閣議決定時などにおいて、国会の前に集結し、与党・自民党に反対するデモ活動がクローズアップされました。

www.huffingtonpost.jp

参加者は主催者によると、霞が関などの周辺地域を含めてのべ約35万人、警察発表では国会前だけで約3万3000人が参加した。

ちょっと時期はズレますが、今年の10月に行われた選挙での自民党の得票率を見てましょう。

www.asahi.com

朝日新聞が23日午後9時40分現在で集計した結果、自民党は289選挙区で2672万票を獲得

上述の平和安全法制反対デモの参加人数が、主催者発表で35万人。あえてこちらで計算したとしても、この数は自民党に投票した有権者数のわずか1.3%でしかありません。

最終的に平和安全法制は立法に至ったので良かったですが、もし国会前デモを理由に法案が審議から弾かれたり、廃案されるようなことがあれば、それこそ民主主義の死です。

有権者数に遥かに及ばない「市民の声」とやらで政治が動かされることこそ、まさに独裁政治そのものではないでしょうか。

憲法によって制定された選挙制民主主義に基づき、有権者によって選出された国会議員が国会における正当なプロセスを経て立法しているわけです。

安倍首相やトランプ大統領など、自分の政治的思想信条にそぐわない人物が行政の長におさまっているからと、安易に「民主主義は死んだ」と叫ぶ行為こそが、民主主義を死に至らせる病なのです。

なぜいまエルサレム首都承認なのか?:アメリカメディアを読む

アメリカのトランプ政権が、イスラエルの首都をエルサレムと承認し、米大使館をテルアビブからエルサレムへ移転すると発表してから1週間が経とうとしています。 

www.bbc.com

この発表以来、イスラエルを中心に抗議活動や暴力行為が多数発生しています。

12月8日には、ガザ地区からロケット弾がイスラエル領内に向けて発射されました。

mainichi.jp

イスラエルのウェブメディア、『タイムズ・オブ・イスラエル』によると、11日深夜にはアシュケロンに向けてロケット弾が発射され、イスラエル国防軍が報復攻撃に出ている様です。

www.timesofisrael.com

ロケット弾はイスラエルの自動迎撃システム「アイアンドーム」が撃墜しました。

また、ガザ地区において、イスラエル軍の攻撃により2人の死者が出ています。

www.aljazeera.com

 

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さて、なぜトランプ大統領はこの時期に、中東情勢を大きく混乱させる決定を下したのでしょうか?

7日の『星条旗新聞』に、このような解説記事が載っています。

◇トランプはなぜ今、中東を加熱させるのか?

www.stripes.com

寄稿者は『トリビューン・ニュース・サービス』のコラムニスト、マーティン・シュラム氏です。

同氏は、前国家安全保障問題担当大統領補佐官のマイケル・フリン退役陸軍中将に対する捜査から世間の目をそらすためではないか、としています。

Special counsel Robert Mueller has scored a major success in convicting retired Gen. Michael Flynn, Trump’s first national security adviser, who is apparently now cooperating with the probe. Trump knows what else might be discovered. And that probably explains Trump’s recent uneven actions that sometimes appear to be borderline panic.

Trump clearly wanted to deflect our attention away from Mueller’s Russia probe.

ロバート・ミュラー特別検察官は、トランプ政権初代国家安全保障問題担当大統領補佐官の退役中将マイケル・フリンに対する起訴に成功している。トランプは(ミュラー特別検察官による)捜査が更なる発見をもたらすと知っている。そしてそれこそが、トランプ大統領の昨今の行動を説明する。

トランプはミュラー特別検察官のロシア疑惑捜査から世間の注意を逸らしたいのだろう。

マイケル・フリン退役陸軍中将はアメリカ陸軍の元将官であり、アメリカ軍の情報機関、国防情報局(Defense Intelligence Agency、通称DIA)の長官を務めたこともあります。

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フリン中将はドナルド・トランプ大統領の大統領選挙期間中の軍事顧問となり、トランプ氏の大統領就任後に国家安全保障問題担当大統領補佐官に任命されました。

しかし、補佐官の就任前に、駐米ロシア大使と対ロシア制裁について話していたことが発覚。この事実についてマイク・ペンス副大統領に虚偽の説明を行ったとして、事実上の更迭となりました。

現在はミュラー特別検察官率いる捜査チームによる捜査が行われています(詳細は以下の記事を参照のこと)。

www.bbc.com

www.bbc.com

なお、現在の国家安全保障問題担当大統領補佐官はハーバート・レイモンド・マクマスター(Herbert Raymond McMaster)陸軍中将です。

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陸軍士官学校(ウェスト・ポイント)卒業後に陸軍入隊、湾岸戦争イラク戦争での実戦経験を持つ歴戦の勇者です。特に湾岸戦争では、9両の戦車で80両のイラク軍戦車を撃破するという戦績を挙げています。軍人としての評価が高く、2014年の『タイム』誌の「今年の100人」に選ばれたこともあります。

www3.nhk.or.jp

 

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さて、シュラム氏の論稿に戻りましょう。

筆者としては、あまりにも一面的すぎる見方ではないかと考えます。

シュラム氏が挙げている根拠を否定するつもりはありません。FBIによるフリン退役中将に対する捜査はトランプ政権にとって痛手であることは間違いありません。レックス・ティラーソン国務長官の辞任疑惑も流れたなか、これ以上の政権の人事面でのダメージは押さえたいとトランプ政権が考えているのは自然でしょう。

しかし、ロシア疑惑への捜査から目をそらすために、中東を揺るがすような決断を下すほど、トランプ大統領が軽率な行動をとる人間とは思えません。

筆者の見解としては、ダーイシュ(イスラム国、ISIS、IS)との戦いが終結に近づき、シオニストであるペンス副大統領や、ユダヤ教徒であるクシュナー上級顧問らに押し切られた、というのが主な理由ではないでしょうか(なお、ティラーソン国務長官マティス国防長官は安全保障上の観点から首都承認には反対の姿勢をとったそうです)。

www.sankei.com

特に、ペンス副大統領はロシア疑惑の火の粉が降りかかっておらず、トランプ大統領との不仲説なども浮上していないことから、ペンス副大統領が決定に影響を及ぼしたものと思われます。

安全保障上の観点を押し切ってでも首都承認にいたったということは、何かリアリズム的なものを越えた観点から決定が下されたのでしょう。

本件に関してはイスラエルメディアを含め、観察を続けていくことが重要です。

カナダ、アメリカに追随せず

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カナダは7日、テルアビブの大使館をエルサレムに移転しないと明らかにしました。

www.timesofisrael.com

これは中国を訪れているジャスティン・トルドー首相が明らかにしたもので、クリスチア・フリーランド外務大臣も「エルサレムの領有権についてはパレスチナイスラエル紛争の合意の一環としてのみ解決される」というカナダの長年の立場を再確認しました。

“We are strongly committed to the goal of a comprehensive, just and lasting peace in the Middle East, including the creation of a Palestinian state living side-by-side in peace and security with Israel,” she said.

イスラエルと平和的かつ安定的にパレスチナ人国家の創設を含む、包括的、公正、そして持続的な中東の和平に我が国はコミットしてゆく」とフリーランド外務大臣は述べた。

トランプ大統領によるエルサレムの首都承認と米大使館の移転が各国から批判を受けているのはすでに報じられている通りです。本ブログでもすでに何度も触れています。

www.huffingtonpost.jp

www.afpbb.com

一方、ネタニャフ首相は、エルサレムを首都と承認する意図の国家とすでに接触を図っているといい、また複数の国家がエルサレムへの大使館移転を検討しているそうです。

yyz095.hatenablog.com

However, speaking at a Foreign Ministry diplomatic conference on Thursday, Prime Minister Benjamin Netanyahu said he was in contact with other countries that want to recognize Jerusalem as Israel’s capital and move their embassies there.

“We are holding contacts with other countries who will also recognize Jerusalem as Israel’s capital. I have no doubt than when the US Embassy will move there, and even before that, many embassies will relocate to Jerusalem. It’s about time,” he said.

Israeli officials said Thursday that both the Czech Republic and the Philippines were eager to move their embassies from Tel Aviv to Jerusalem. The officials spoke on the condition of anonymity.

The officials said they expect Czech President Milos Zeman to recognize the city as Israel’s capital in an interview slated for later Thursday.

しかし、木曜日の外務省外交カンファレンスにおいて、ネタニャフ首相はエルサレムイスラエルの首都と承認し、大使館を移転しようと検討している国家と接触を図っていると述べた。

エルサレムイスラエルの首都と認める国家と接触を保っている。アメリカ大使館が移転した時に、あるいはその前にでも、たくさんの大使館がエルサレムに移転する。時期がきたのだ。」と首相は述べた。

イスラエル政府高官は木曜日、チェコ共和国とフィリピンがテルアビブからエルサレムに大使館を移転する意図を有していると述べた。高官は匿名を条件に語った。

高官は、木曜日に予定されているインタビューでチェコ共和国のミロス・ゼマン大統領がエルサレムイスラエルの首都と認めるだろうと語った。

 

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トルドー首相の外交政策は、前任のスティーヴン・ハーパー首相(保守党)よりも親米色が薄いとされています。

今回の件でも、トルドー首相自らがきっぱりと「カナダ大使館はテルアビブから動かさない」と述べています。

カナダがアメリカの政策に「NO」ということは珍しいことではありません。

レスター・B・ピアソン首相は1965年にアメリカのベトナム空爆を批判するスピーチを行い、当時のリンド・ジョンソン大統領に胸倉をつかまれたとされています。

www.cbc.ca

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ピアソン首相です。

また、2003年、カナダはイラク戦争にも国連決議の不在や根拠の不足を理由に不参戦の方針をつらぬきました(当時はジャン・クレティエン首相)。

この時のカナダ国会での決議の様子を録画した映像は、首都オタワの戦争博物館で見ることができます。筆者も実際に戦争博物館でこの映像を閲覧しましたが、アメリカに「NO」を突き付けるシーンを、よりによってカナダ国会から数キロと離れていない博物館で堂々と流していることに非常に驚きました。

こうしたカナダの対米政策に、日本が見習うべきところは非常に多いと思います。

しかし、今回のイスラエルの件で、ここまでハッキリとアメリカに「NO」を突き付けたトルドー首相以下、カナダ政府の政策は筆者は疑問に思います。

イスラエルは中東で数少ない民主主義国家であり、軍事的にも中東では強いプレゼンスを誇ります。

イスラエル軍は建国以来、4度も中東諸国と戦いました(第一次~第四次中東戦争)。

またイランの核施設を空爆し、同国の核開発を阻止したこともあります(オペラ作戦)。

イスラエルの対外情報機関、モサドは第二次大戦の裁判から逃れたナチスドイツの高官を捕獲し、自国で裁判を下しています(アドルフ・アイヒマン)。

ミュンヘン・オリンピックでパレスチナ人テロ組織(黒い九月)に自国選手団を殺害された時も、報復としてテロ組織の幹部を暗殺しています(映画『ミュンヘン』が詳しく描いています)。

何よりも、自国領土に向けてロケット弾を発射したり、堂々とテロ攻撃をしかけてくる民族と隣り合わせでありながら、イスラエルは自国の独立と安全を守っています。

イスラエルこそ、日本が見習うべき国家だと筆者は考えます。

イスラエルパレスチナレバノン、ヨルダン、シリア、イランといった敵対的国家に囲まれています。

日本も中国、北朝鮮、ロシアという脅威にさらされています。イスラエルの様に積極的に攻撃を仕掛けるべきではありませんが、対外政策としてはイスラエルの戦術・戦略に見習うところは多いです。

イスラエルと良好な関係を築くことで、我が国が得られるものは非常に多いです。

カナダはもう少し慎重な政策をとるべきだったのではないでしょうか。

そして日本は、本件に関してはイスラエル寄りの政策をとるべきと筆者は考えます。

 

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それにしても、ネタニャフ首相の強気の姿勢は何なのでしょうか。

チェコ、フィリピン、ハンガリーがアメリカと同様の政策をとる見込みがあるとはいえ、首相本人の口から「エルサレムを首都と認める国々と接触を図っている」と述べるほど、水面下でイスラエルは支持を得ているのでしょうか。

しばらくはネタニャフ首相から目が離せません。

米海兵隊 大使館の警備体制強化

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トランプ大統領によるエルサレムイスラエル首都承認、ならびにテルアビブからエルサレムへの大使館移転に対し反発が強まっています。

www.bbc.com

www3.nhk.or.jp

www.traicy.com

アメリカによる決定はパレスチナのみならずアラブ諸国の過激派等も反発しており、イスラエルに対するインティファーダはもちろんのこと、アメリカに対するテロ攻撃の恐れもあります。

アメリカの在外公館もアメリカ市民に対し警告を発しています。以下は在イスラエル米国大使館の警告です。

il.usembassy.gov

The recent announcement that the United States recognizes Jerusalem as the capital of Israel and plans to relocate the U.S. Embassy from Tel Aviv to Jerusalem may spark protests, some of which have the potential to become violent. The U.S. Embassy reminds U.S. citizens of the need for caution and awareness of personal security.

昨今の我が国による、エルサレムイスラエルの首都と承認にテルアビブからエルサレムに大使館を移転するという声明は抗議活動を引き起こす可能性があり、暴力的活動に発展する恐れがあります。米国大使館は市民の皆様に、ご自身の身の回りの安全について注意していただくよう申し上げます。

 エルサレムイスラム教にとっても聖地であり、イスラム過激派も反発を強めています。

www.sankei.com

こうした世界規模でのアメリカならびにアメリカ人に対する危険が高まる中、もっとも狙われやすくなるのはアメリカの大使館や総領事館といった在外公館です。

アメリカの在外公館の警備についているのはアメリカ外交保安局(Diplomatic Security Service)とアメリカ海兵隊(US Marines)です。

Bureau of Diplomatic Security

Marines.mil - The Official Website of the United States Marine Corps

まぁアメリカ在外公館なんて日本人がそうそう行く場所ではありませんが、もしかしたら海外のアメリカ大使館を警衛する海兵隊員を見たことがある人はいるかもしれません。

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米軍の準機関紙、『星条旗新聞』に以下の記事が掲載されました。

海兵隊、トランプのエルサレム発表を受け警備体制強化へ」

www.stripes.com

国防総省は7日、トランプ大統領によるエルサレムに関する発表を受け情勢の不安定化が予想される地域において、米海兵隊が米国大使館や総領事館警衛を行う準備ができている、と発表しました。

米陸軍ロブ・マニング大佐は「様々な脅威に対応する用意ができている」「世界中の大使館と総領事館に対する脅威に対処できる準備ができている」と述べました。

米軍による警衛体制の強化の詳細については、マニング大佐は触れませんでした。

マニング大佐は、「我々は大使館を常時警衛しており、国防総省は米政府職員と国益を守るためのステップを真剣に検討している」「脅威評価に基づいた任務に適切に対応するだけの兵力を備えるのは司令官の職務である。国務省の担当部署と連携し大使館と総領事館を守るために尽力している」と述べました。

トランプ大統領の発表を前に米海兵隊を危険地域の米国政府施設に配備したのか否かについては、国防総省国務省のいずれもコメントを控えました。しかし、米中央軍担当地域の陸上ならびに海上海兵隊部隊は即応体制を敷いていた、とマニング大佐は述べました。米中央軍は中東と中央アジアにおける米軍の軍事作戦を管轄しています。

海兵隊によれば、米国の大使館や総領事館が攻撃を受けた場合は、海兵隊艦隊対テロリズム警備班(Marine Fleet Anti-Terrorism Security Team)、通称「FAST」が展開します。FASTは米政府職員や施設への脅威対応を専門とする部隊です。FASTは50名の海兵隊員からなる小隊で構成されています。

2012年9月のリビアベンガジにおける総領事館襲撃事件の後、在リビア米大使館にはFASTの部隊が展開しました。

FAST中央コマンドによると、FASTは近年、キルギスタンやエジプト、バーレーン、イエメン、イラクの大使館に配備されています。

7日までに、20以上の米大使館がエルサレム関する決定による過激な抗議行動の可能性を警告しています。警告が発令された地域は中東、南ならびに中央アジア、ヨーロッパと南アメリカです。

また、国務省はアメリカ国外に滞在するアメリカ国民に対し、「政治的不安定情勢、暴力行為、抗議活動、犯罪行為」に対し警戒する様よびかけ、在外公館が警戒体制を強化し業務を行うとしています。

ワシントン・ポスト紙の報道によれば、7日朝までに、エルサレム、ラマッラー、ウェスト・バンク、またガザ地区にてイスラエル兵との間で衝突が発生。ハマスをはじめパレスチナ人グループがイスラエルへのインティファーダを呼び掛けています。

しかし、国防総省国務省職員らが匿名で語ったところによれば、国防総省トランプ大統領の発表以来、警備体制に変更をおこなっていないとのことです。

 

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今回の首都承認でターゲットとなりうるのは、イスラエルとアメリカです。

日本は今のところ様子見ですので、日本の在外公館や日本企業の海外駐在所、日本人が襲われる恐れはしばらくないでしょう。

しかし、イスラエルへの渡航だけは絶対に控えた方がよさそうです。

日本大使館は米海兵隊の様に軍隊が守っているわけではありませんし、いざというときに助けてくれる保証はありませんので…。 

yyz095.hatenablog.com

エルサレム首都承認の理由:イスラエルメディアを読む

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日本時間の20時の『エルサレム・ポスト』の速報で流れてきたニュースです。

イスラエルロシア大使が、ロシアも西エルサレムイスラエルの首都と承認し、大使館の将来的なエルサレムへの移設を検討していると発表しました。

Russian Amb. to Israel signals willingness to move embassy to Jerusalem in future - Breaking News - Jerusalem Post

Russian Ambassador to Israel Alexander Shein reiterated in a statement Thursday that Russia considers west Jerusalem to be Israel's capital, and suggested the possibility that Russia, too, could move its embassy from Tel Aviv to Jerusalem once a peace deal is reached between Israel and the Palestinians.

イスラエル駐在ロシア大使のアレクサンダー・シェインは木曜日、ロシアは西エルサレムイスラエルの首都であると認識しており、イスラエルパレスチナ間の平和合意が成立した場合、ロシアもテルアビブからエルサレムに大使館を移転する可能性がある、と声明で繰り返した。

こちらは『エルサレム・ポスト』の報道です。

イスラエルのウェブメディア、『タイムズ・オブ・イスラエル』でも同様の報道がなされています。

www.timesofisrael.com

同記事によれば、ロシア外務省は木曜日、西エルサレムイスラエルの首都であると承認する声明を発表。同声明では、並行して、東エルサレムが将来のパレスチナ国家にとっての首都にあたるとも述べています。

アメリカ政府によるエルサレムの首都承認、ならびに大使館の移転を受けた声明でありますが、ロシア政府のこの声明は必ずしもアメリカの声明と同レベルのものではありません。

ロシア政府の声明に対するイスラエル政府の反応はまだ明らかになっていませんが、イスラエルは東エルサレムを含む全エルサレムを首都であると主張しています。今回のロシア政府声明を一部抜粋します。

East Jerusalem as the capital of the future Palestinian state.

エルサレムを将来のパレスチナ国家とする。

あくまでも現状追認となる声明ですが、ロシア政府の今後の動向を注視する必要があります。

また、チェコ共和国の大統領が、エルサレムへの大使館移転の意向を示しました。

www.timesofisrael.com

チェコ共和国大統領のミロス・ゼマン氏は木曜日、トランプ大統領による米大使館移転を歓迎し、チェコ共和国も追随する可能性があると述べました。

“It makes me truly happy because, as I said during my visit to Israel four years ago, I would appreciate the transfer of the Czech Embassy to Jerusalem, and had it happened, we would have been the first to do so,” said Milos Zeman. “Now we may sooner or later follow the United States. In any case, it is still better than nothing.”

「4年前のイスラエル訪問の際に述べたように、トランプ大統領の声明は非常に喜ばしい。チェコ大使館のエルサレム移転をありがたく思う(?)。そして我が国が最初に移転を行う」とゼマン氏は述べた。「我が国も遅かれ早かれアメリカを追随する。いずれにせよ、何もしないよりははるかにマシだ」とも述べた。 

トランプ大統領の発表を受け、チェコ共和国は1967年以前の西エルサレムイスラエルの首都と承認しています。しかし、地域のパートナーとの討議の上で、テルアビブにある大使館を移転する方針であるとも述べました。

なお、トランプ大統領は東西いずれのエルサレムを首都と認定するかの区別をつけていません。

しかし、チェコ共和国の声明は、あくまでも地域の国々や世界各国との討議・交渉の結果に基づいて、大使館の移転を行うとしています。

イスラエルにとっては諸手を挙げて歓迎できるものではありませんが、ネタニャフ首相によれば、複数の国々がエルサレムイスラエルの首都と認定し、大使館をエルサレムに移転したいと考えているとのことです。

“We are holding contacts with other countries who will also recognize Jerusalem as Israel’s capital. I have no doubt than when the US Embassy will move there, and even before that, many embassies will relocate to Jerusalem. It’s about time,” he said.

「我々は、エルサレムイスラエルの首都と認定する意向の国々と接触している。アメリカ大使館がエルサレムに移転した折、あるいはその前に、多くの大使館がエルサレムに移転するだろう。時はきた。」と彼は述べた。

また、イスラエル政府高官が匿名を条件に語ったところによれば、チェコ共和国に加えて、フィリピンも大使館移転に前向きな姿勢を見せているということです。

また、イスラエルハンガリーも追随をする可能性があると見ています。情報筋によると、トランプ大統領の発表を非難する欧州連合(EU)の声明をハンガリー妨害(?)しているということです。

イスラエルエルサレム全域を自国の首都と主張しており、あくまでもイスラエルパレスチナの交渉を行ったうえでエルサレムの位置づけを決定すべき、というのが国際社会のコンセンサスとなっています。

 

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世界の多くの国がアメリカによる首都承認と大使館移転を非難しているとの報道がメインストリームとなっています。

www.bloomberg.co.jp

しかし、イスラエルの報道を見る限り、必ずしも世界のすべての国が反対している、という訳ではないようです。

記事にあった通りチェコやフィリピン、ハンガリーが大使館移転を検討していますし、ネタニャフ首相も、詳細は明らかになっていませんが、水面下で手ごたえを得ている様です。

日本政府は現在、アメリカの決定については賛否を明らかにしていません。

mainichi.jp

アメリカ・イスラエルからの圧力と、中東諸国への配慮で板挟みとなっているのでしょう。

現時点では在テルアビブ大使館の移転は検討していないようですが、上述の国々の様に、大使館の移転「だけ」は行う、という方針を日本は取るのではないでしょうか。

大使館の移転は行いつつも、エルサレムの帰属問題に関してはイスラエルパレスチナ間の交渉の様子を観察する、という方策に落ち着きそうです。

ただ筆者としては、日本とイスラエルの関係はもっと強固にする必要があると考えているため、日本もエルサレム帰属問題でイスラエル側を積極的に支援するべきだと思います。