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エルサレムの首都承認:米紙と中東の報道を読む

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乃木坂46伊藤理々杏ちゃんです。可愛いなぁ。

 

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アメリカがエルサレムイスラエルの首都と正式に承認しました。

headlines.yahoo.co.jp

本件に関して、まずは『ウォール・ストリート・ジャーナル』の社説を見てみましょう。

www.wsj.com

タイトルは「エルサレムの現実:トランプはイスラエルに関する選挙公約を守った」。

WSJ誌は、トランプ大統領によるエルサレム首都承認を「批判者が主張するほど過激な政策ではない」と擁護・歓迎する姿勢を打ち出しています。

The decision is hardly the radical policy departure that critics claim, and Mr. Trump accompanied it with an embrace of the two-state solution for Palestine that Presidents of both parties have long supported.

この決定は批判者が主張するほど過激な政策ではなく、トランプ大統領は過去に共和党民主党が長らく支持してきた二か国間解決と共に実行している。

社説は続けて、「米国議会はエルサレムイスラエルの首都であると1995年に承認している」 とし、「他の大統領も原則として首都承認に賛同しており、時には選挙中にも掲げている。しかし大統領就任後は権利放棄を続け、正式な首都承認や米大使館のテルアビブからエルサレムへの移転を延期し続けた。トランプ大統領は候補者としてやるべきことをしたに過ぎない。」と、あくまでも過去の米大統領も基本的にはエルサレムの首都承認を暗黙の了解としており、トランプ氏はそれを実行に移しただけにすぎないとしています。

Mr. Trump called his decision on Wednesday “a recognition of reality,” and he’s right.

トランプ大統領は水曜日の決定を「現実の認定」と呼んだ。これは正しい。

イスラエルの議会や最高裁判所、そして大統領や首相の公邸はエルサレムに存在し、アメリカ大統領やアメリカの国務長官エルサレムでカウンターパートとの面会を行っていたと社説は続けて指摘します。

一方で、米国の公式な外交政策イスラエルパレスチナ両国がエルサレムの扱いについては合意に達する必要があるとの認識にあり、パレスチナエルサレムを自国の首都であると主張している。これに関して、トランプ大統領は特定の側に肩入れをしているわけではない、と社説は解説しています。

The White House proclamation acknowledges that “Jerusalem is a highly-sensitive issue” and doesn’t distinguish between West Jerusalem, which houses Israel’s government, and East Jerusalem, which Israel has administered since the 1967 Six Day War.

官邸の声明は、「エルサレムの帰属問題は極めてセンシティブなものだ」としており、イスラエル政府の存在する西エルサレムと、1967年の6日戦争の後にイスラエルが施政権をもつ東イスラエルを区別していない。

トランプ大統領は大使館の移転とイスラエルパレスチナ間の平和合意到達をワンセットで見ており、パレスチナ国家設立を解決方法から除外していないと社説は続けて指摘。トランプ政権はこの方針を継続しており、水面下で交渉は続いているとしています。

一方、パレスチナ当局は無実のイスラエル人の殺害を行うパレスチナ人の家族への資金的支援を停止するべきであると指摘。

The House passed the Taylor Force Act Tuesday, which would reduce U.S. aid to the Palestinians until they renounce pay-for-slay payments. A Senate vote may follow this month.

「テイラー・フォース法」が火曜日に米国下院を通過。この法はパレスチナ人が(イスラエル人)殺害行為に対する報酬の支払いを停止するまで、米国からパレスチナへの支援を減らすことを定めている。上院でも同法は今月にも通過するだろう。

アラブ諸国は首都承認に対し反発しているものの、「その怒りはいつまで続くのだろうか」と社説は疑問を呈します。

The Sunni Arabs also confront the threats of Islamic terrorism and Iranian imperialism, and the Palestinians are a third order concern. If the movement of an American Embassy that was signaled more than 20 years ago is enough to scuttle peace talks, then maybe the basis for peace doesn’t yet exist.

スンニ派はスラム過激主義やイランの帝国主義にも直面しており、パレスチナ問題に関しては二の次三の次なのである。20年以上も前から提示されていた米大使館の移転が中東の平和を崩すものであるならば、では初めから平和の基礎など存在していなかったのだろう。

つまり、パレスチナ問題以上に中東諸国は重大な問題を抱えており、本件に関してああだこうだと騒ぐ余裕は中東諸国にはない。そもそも大使館移転については何年も前から議論されていたものであり、いまさら大騒ぎすることではないだろう、と社説は結論づけています。

もうひとつ、『アル・ジャジーラ』に掲載されたオピニオンを見てみましょう。

こちらはWSJ誌とは異なり、エルサレムの首都認定に明確に反対しています。

www.aljazeera.com

寄稿者は元プリンストン大学教授のパレスチナ人ジャーナリスト、ダオウド・クッタブ氏です。

But while the US has always been pro-Israel, it tried, at least in theory, to adhere to international law and the worldwide consensus while dealing with the Israeli-Palestinian conflict.

アメリカは親イスラエル国家であったが、イスラエルパレスチナ紛争に関しては国際法と国際的コンセンサスを堅守してきた。

「アメリカは過去にパレスチナ問題を解決できる方法を拒否してきたが、エルサレムに関してはその立ち位置を明らかにしてきた。ほかの国々と同じく、イスラエルによる東エルサレムの併合を繰り返し否定しており、東エルサレムをを、ガザ地区やナブルス、ラマラと同じく占領地であると考えてきた」とクッタブ氏は指摘。

また、国際法イスラエルが軍事的支配下に置いている地域についてステータスの変更を行うことを禁止しており、ジュネーブ条約の第4条は占領地の状況を変更することを禁じている、とクッタブ氏は指摘しています(「占領地の状況の変更」とは、占領地の住民を強制的に移動・退去させることを指します)。

クッタブ氏は続けて、アメリカ議会(氏は「イスラエル占領地」と言及)が過去に、行政機関(ホワイトハウス、官邸)の外交政策権力を侵害する親イスラエル的な法律を多数通過させておりながらも、過去の大統領はこれら法律に反対し、大統領権限に基づいて法律の施行を食い止めてきた、と記述しています。

The Jerusalem Embassy Act, which was signed into law in 1995, was one such example. It threatened to defund the Department of State if the US didn't move its embassy to Jerusalem, but, at the same time, allowed the president to sign a waiver every six months to avoid making such a drastic and implosive decision. Every president since then has regularly signed the waiver. President Donald Trump also signed the waiver in June 2017 - a move that allowed his son-in-law, Jared Kushner, to work towards "bringing peace to the Middle East".

1995年に施行された「エルサレム大使館法」はその例である。この法律は、アメリカが大使館をエルサレムに移転しない場合、アメリカ国務省の予算を削減すると脅迫するものであった。しかし同時に、大統領は6か月ごとにこうした極端な決定を回避するウェイバー(権力放棄)にサインすることを許可していた。過去の大統領はすべてサインを行った。トランプ大統領も2017年6月にサインしており、娘婿のジャレッド・クシュナーに「中東に平和をもたらす」様にさせていた。

しかし、「この6か月で状況は大きく変わった」、とクッタブ氏は説明します。

Kushner found himself at the centre of the expanding investigation into Trump campaign's alleged links to Russia, and, as a consequence, his influence in the White House has been diminished. Meanwhile, Vice President Mike Pence' influence over Trump and his inner circle has gradually increased. Pence, a Christian Zionist, has long been a leading voice in favour of relocating the US embassy to Jerusalem. And, on Tuesday, it looked like he has finally achieved his goal, as President Trump reportedly called his Palestinian counterpart, Mahmoud Abbas, to inform him of his intention to move the US embassy from Tel Aviv to Jerusalem.

クシュナーはトランプとロシアの疑わしい関係に対する捜査の対象になっており、結果として彼のホワイトハウスでの影響力は減少している。一方で、マイク・ペンス副大統領のトランプ大統領と側近への影響力は徐々に巨大化した。クリスチャン・シオニスト(筆者註:エルサレムアブラハムの子孫に永久に約束された土地である、と信じるキリスト教一派のこと)であるペンス氏は、エルサレムへの大使館移転を長年主張してきた。火曜日にトランプ大統領パレスチナのカウンターパートであるマムード・アッバス議長に大使館移転の意志を伝えたことで、ペンス氏は目標を達成したことになる。

中東和平を担ってきたジャレッド・クシュナーの政治的影響力が低下し、一方で熱心なシオニストであるマイク・ペンス副大統領がその力を増したことが背景にある、とクッタブ氏は説明しています。

しかし現在においても、トランプ大統領が本当に意志を貫くかについては疑問をクッタブ氏は疑義を呈しています。

It is possible that Trump is once again trying to play a "deal game" - upping the ante with the threat of not signing the waiver in order to eventually sign the waiver but, in the meantime, make a possibly unbinding declaration from the White House that Jerusalem is the capital of Israel.

トランプ大統領が再び「ディール・ゲーム」を行う、つまりウェーバーへのサインを拒否する姿勢を見せることで要求水準を吊り上げ、その隙にエルサレムイスラエルの首都であるという拘束力のない宣言をホワイトハウスから出す可能性がある。

 この方法でさえ、問題だらけであるとクッタブ氏は指摘。

If he calls "united Jerusalem" the capital of Israel, he will for sure completely alienate Palestinians and will be throwing his own son-in-law's efforts to bring calm to the region under the bus. On the other hand, if he calls West Jerusalem Israel's capital, he will infuriate the Israelis and thus not gain much by it.

もしトランプ大統領が「統合エルサレム」をイスラエルの首都と宣言すれば、パレスチナ人との関係は疎遠なものとなり、娘婿(クシュナー氏)の中東平和への尽力は犠牲になる。その一方で、西エルサレムイスラエルの首都とすれば、イスラエルの人々の怒りを買い、得るものはないだろう。

トランプ大統領はすでに嬉々としている人々(議会)を喜ばせること以外に、最終的に何を得るのだろうか?特にないだろう。」と氏は続けます。

Any action Trump may take regarding Jerusalem, whether moving the embassy or simply recognising the city as Israel's capital, would also reflect his lack of understanding of the conflict and the role of Jerusalem in it. Jerusalem is not only a Palestinian issue, but also an Arab and Islamic one. The historic city is also an important symbol for Christians and peace-loving people from any religion around the world.

大使館移転であれ首都承認であれ、トランプ大統領エルサレムに関してとるいかなる行動も、紛争とエルサレムの役割に関する彼の理解の欠落を示す。エルサレムパレスチナ問題であるだけでなく、アラブとイスラムの問題でもある。この歴史的な街はキリスト教徒や、世界中の平和を願う様々な宗教の信者にとって重要なシンボルである。

つまり、トランプ大統領エルサレムの重要さに関して理解や認識が不足している、とクッタブ氏は主張しています。

また、「例えエルサレムに大使館を移転したとしても、他の国々が追随することはない」とクッタブ氏は断言。その根拠として、以下の様なものを挙げています。

The most powerful western alliance, the European Union, has already declared that it will certainly not support such a unilateral decision. The Arab League and the Organisation of Islamic States have also rejected the move. Turkish President Recep Tayyip Erdogan has threatened to cut diplomatic ties with Israel if the US recognises Jerusalem as the Israeli capital. Moreover, Trump has been warned by Palestinians and a number of prominent Israelis not to tinker with a sensitive issue like Jerusalem.

EUはすでにアメリカの行動を一方的なものであると発表しており、アラブ連盟イスラム国家連合もこの行動を否定している。トルコのエルドアン大統領も、アメリカがエルサレムを首都承認した場合、イスラエルとの外交関係を断絶すると脅迫している。さらに、トランプ大統領パレスチナ人や著名なイスラエル人からエルサレムのようなセンシティブな問題を弄繰り回すのは控えるべきだと警告されている。

エルサレムトランプ大統領の幼稚な「ディール・ゲーム」の駒にはなれず、なるべきでもないとクッタブ氏は指摘しています。

そして、もしトランプ大統領が本気でエルサレムに大使館を移転するのであれば、公式に二か国間解決を受け入れるべきである、としています。つまり、西エルサレムイスラエルの首都と承認し、東エルサレムパレスチナの首都と承認せよ、ということです。こうすることで、トランプ大統領は大使館移転という選挙公約を果たしつつ、中東平和を成し遂げることもできる、とクッタブ氏は主張します。それに及ばない選択肢は「時の試練にも、公正さにも正義にも耐えられないだろう。選択肢は明らかだ」としています。

そして以下の通りでコラムを締めています。

Unfortunately, it appears that Trump is choosing war over peace and injustice and occupation over justice, freedom and independence.

残念ながら、トランプ大統領は平和より戦争、正義・自由・独立よりも不正義と占領を選んでいる。

長くなりましたが、このコラムは一貫してトランプ大統領の方策に批判的な論調を貫いており、WSJの社説とはまったく異なるベクトルとなっています。

 

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WSJアルジャジーラでは、こうも大きく論調が異なることが明らかになりました。日本のメディアだけを見ていると、トランプ大統領の発表で中東情勢の悪化を懸念する声だけがメインストリームですが、WSJの様にトランプ大統領を支持する論調も世界には存在します。

ちなみに筆者はWSJの社説と同意見であり、今回のトランプ大統領の決定は、アメリカ政府が長年棚上げにしてきた事実をトランプ大統領が棚卸をしたに過ぎない、と考えています。周辺諸国、特にパレスチナの反発は予想されるところですが、ダーイシュの衰退など中東情勢の不安要素は減少傾向にあるので、平和的に解決される方向で片付くのではないでしょうか。

なお、イスラエルのネタニャフ首相はツイッターに以下の投稿をしました。

きわめて自然な反応ですね。