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なぜいまエルサレム首都承認なのか?:アメリカメディアを読む

アメリカのトランプ政権が、イスラエルの首都をエルサレムと承認し、米大使館をテルアビブからエルサレムへ移転すると発表してから1週間が経とうとしています。 

www.bbc.com

この発表以来、イスラエルを中心に抗議活動や暴力行為が多数発生しています。

12月8日には、ガザ地区からロケット弾がイスラエル領内に向けて発射されました。

mainichi.jp

イスラエルのウェブメディア、『タイムズ・オブ・イスラエル』によると、11日深夜にはアシュケロンに向けてロケット弾が発射され、イスラエル国防軍が報復攻撃に出ている様です。

www.timesofisrael.com

ロケット弾はイスラエルの自動迎撃システム「アイアンドーム」が撃墜しました。

また、ガザ地区において、イスラエル軍の攻撃により2人の死者が出ています。

www.aljazeera.com

 

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さて、なぜトランプ大統領はこの時期に、中東情勢を大きく混乱させる決定を下したのでしょうか?

7日の『星条旗新聞』に、このような解説記事が載っています。

◇トランプはなぜ今、中東を加熱させるのか?

www.stripes.com

寄稿者は『トリビューン・ニュース・サービス』のコラムニスト、マーティン・シュラム氏です。

同氏は、前国家安全保障問題担当大統領補佐官のマイケル・フリン退役陸軍中将に対する捜査から世間の目をそらすためではないか、としています。

Special counsel Robert Mueller has scored a major success in convicting retired Gen. Michael Flynn, Trump’s first national security adviser, who is apparently now cooperating with the probe. Trump knows what else might be discovered. And that probably explains Trump’s recent uneven actions that sometimes appear to be borderline panic.

Trump clearly wanted to deflect our attention away from Mueller’s Russia probe.

ロバート・ミュラー特別検察官は、トランプ政権初代国家安全保障問題担当大統領補佐官の退役中将マイケル・フリンに対する起訴に成功している。トランプは(ミュラー特別検察官による)捜査が更なる発見をもたらすと知っている。そしてそれこそが、トランプ大統領の昨今の行動を説明する。

トランプはミュラー特別検察官のロシア疑惑捜査から世間の注意を逸らしたいのだろう。

マイケル・フリン退役陸軍中将はアメリカ陸軍の元将官であり、アメリカ軍の情報機関、国防情報局(Defense Intelligence Agency、通称DIA)の長官を務めたこともあります。

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フリン中将はドナルド・トランプ大統領の大統領選挙期間中の軍事顧問となり、トランプ氏の大統領就任後に国家安全保障問題担当大統領補佐官に任命されました。

しかし、補佐官の就任前に、駐米ロシア大使と対ロシア制裁について話していたことが発覚。この事実についてマイク・ペンス副大統領に虚偽の説明を行ったとして、事実上の更迭となりました。

現在はミュラー特別検察官率いる捜査チームによる捜査が行われています(詳細は以下の記事を参照のこと)。

www.bbc.com

www.bbc.com

なお、現在の国家安全保障問題担当大統領補佐官はハーバート・レイモンド・マクマスター(Herbert Raymond McMaster)陸軍中将です。

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陸軍士官学校(ウェスト・ポイント)卒業後に陸軍入隊、湾岸戦争イラク戦争での実戦経験を持つ歴戦の勇者です。特に湾岸戦争では、9両の戦車で80両のイラク軍戦車を撃破するという戦績を挙げています。軍人としての評価が高く、2014年の『タイム』誌の「今年の100人」に選ばれたこともあります。

www3.nhk.or.jp

 

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さて、シュラム氏の論稿に戻りましょう。

筆者としては、あまりにも一面的すぎる見方ではないかと考えます。

シュラム氏が挙げている根拠を否定するつもりはありません。FBIによるフリン退役中将に対する捜査はトランプ政権にとって痛手であることは間違いありません。レックス・ティラーソン国務長官の辞任疑惑も流れたなか、これ以上の政権の人事面でのダメージは押さえたいとトランプ政権が考えているのは自然でしょう。

しかし、ロシア疑惑への捜査から目をそらすために、中東を揺るがすような決断を下すほど、トランプ大統領が軽率な行動をとる人間とは思えません。

筆者の見解としては、ダーイシュ(イスラム国、ISIS、IS)との戦いが終結に近づき、シオニストであるペンス副大統領や、ユダヤ教徒であるクシュナー上級顧問らに押し切られた、というのが主な理由ではないでしょうか(なお、ティラーソン国務長官マティス国防長官は安全保障上の観点から首都承認には反対の姿勢をとったそうです)。

www.sankei.com

特に、ペンス副大統領はロシア疑惑の火の粉が降りかかっておらず、トランプ大統領との不仲説なども浮上していないことから、ペンス副大統領が決定に影響を及ぼしたものと思われます。

安全保障上の観点を押し切ってでも首都承認にいたったということは、何かリアリズム的なものを越えた観点から決定が下されたのでしょう。

本件に関してはイスラエルメディアを含め、観察を続けていくことが重要です。