A Journey for “Proper Works”

A blog of a young Japanesene job hunter who loves Canada🇨🇦, Australian English🇦🇺, and guns. Favourites: Beretta 92F, HK416D.

トランプは北朝鮮と核戦争をするのか?

f:id:YYZ095:20171221052516j:plain

中国による韓国への嫌がらせが止まりません。

今度は中国の漁船団が韓国の巡視船を取り囲み、韓国側が銃撃で応戦する事件がありました。

sofrep.com

韓国の排他的経済水域で違法漁業を行っていた40隻以上の中国漁船団に退去命令を出していた韓国沿岸警備隊の巡視船が逆に取り囲まれ、沿岸警備隊が発砲。M-60機関銃を180発、アサルトライフルを70発発射したとのことです。

中国漁船団による韓国EEZでの違法操業は今に始まった話ではありませんが、先般に中国軍戦闘機が韓国の防空識別圏ADIZ)に侵入するなど、中国による韓国に対するハラスメントが加速してゆきそうな感じがします。

www.newsweek.com

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

12月15日付のシカゴ・トリビューン紙に、こんなコラムが寄せられました。

◇トランプは北朝鮮と核戦争をするのか?

www.chicagotribune.com

寄稿者はトリビューン紙の編集委員、スティーブ・チャップマン氏。

それでは、見てまいりましょう。

Given the improbable events of the past two years, it is almost impossible for anything to happen that would really surprise the American people. They could, however, wake up any morning to a horrific shock: mushroom clouds billowing on the Korean Peninsula.

過去2年間の異常な出来事を念頭においても、アメリカ市民を心底驚かせる様な出来事はまず起こりえないだろう。しかし、ある朝、その恐怖は現実のものとなるかもしれない:朝鮮半島に立ち込めるキノコ雲だ。

トランプ政権は北朝鮮との開戦を何度も示唆してきたが、あまりにもその頻度が多いので、特段注目を集めておらず、トランプ大統領の空威張りであると人々は思っているだろう、とチャップマン氏は書きます。「しかし無鉄砲な発言が更に無鉄砲な行動を引き起こすこともある」、とチャップマン氏は警告します。

8月には、トランプ大統領北朝鮮に対し、これ以上の挑発行為は「世界が見たことのない炎と怒りに直面する」と警告しましたが、北朝鮮は核実験やミサイル発射を続行しました。

ワシントンでは先制攻撃を懸念する声も上がっています。国家安全保障補佐官のハーバート・マクマスター陸軍中将は、北朝鮮に残された選択肢は核放棄であり、「時間はもうない」と発言しています。また、前国家情報長官のデニス・ブレアも、北朝鮮が太平洋でミサイル実験を行った場合は、大規模な空爆とミサイル攻撃を北朝鮮に対し実施するべきだとしています。

また、リンゼイ・グラハム共和党上院議員(サウス・カロライナ州)は軍事的選択肢の行使も示唆しており、「トランプ大統領は、金正恩がアメリカをミサイルで攻撃できる能力を持たせるつもりはないだろう」と『The Atlantic』のインタビューに答えています。

The prospect of war with North Korea appears to be far greater than most Americans realize. The administration has done very little to make the case for a preemptive attack or to prepare the public for the ghastly consequences that would probably follow.

アメリカ人が考える以上に北朝鮮との戦争の見込みは高い。トランプ政権は先制攻撃や戦争の余波についてきちんと準備をしていない。

北朝鮮は数千の砲をソウルとキャンプ・ハンフレイズ米軍基地に向けており、通常戦争(核兵器を使わない戦争)が始まった場合、1日に2万人が死亡すると国防総省は推定しています。

通常戦争が核戦争にエスカレートする恐れもあります。北朝鮮はおよそ60の核弾頭を保有しているとされており、先制攻撃を仕掛けたとしても、すべての弾頭を破壊できる確率は低く、韓国だけでなく、日本やアメリカも戦争の被害を被る可能性がある、とチャップマン氏は指摘します。

McMaster has somehow convinced himself that our possession of a huge nuclear arsenal can’t prevent North Korea from using its small nuclear arsenal. How would “classical deterrence theory,” he asked, apply to “a regime that engages in unspeakable brutality against its own people” and “poses a continuous threat to its neighbors” and possibly the U.S.?

マクマスター中将はアメリカの核兵器では北朝鮮を抑止できないとしている。「伝統的抑止論」が、「自国民を過酷に扱い」、「周辺諸国(そしてアメリカ)に脅威をもたらす」国家に適用できるのだろうか?

しかし歴史を振り返れば、ソ連や中国など、米国や米国の同盟国に核攻撃を仕掛けるような国家は反撃をうけ瞬く間に消滅するだろうと考え、「抑止」が成立した例もあります。

北朝鮮が核ミサイルを発射するとすれば、北朝鮮が奇襲攻撃を受けた場合であり、金正恩はけして自滅するような指導者ではありません。

タカ派は、北朝鮮核兵器などを用いて韓国に北朝鮮主導の半島統一を試みるシナリオを考えている、とチャップマン氏は指摘。遠くの同盟国を救うために、アメリカ大統領がロサンジェルスやワシントンを放射能で壊滅させるだろうか?と疑義を呈します。

But for Kim, the risk of being wrong on that gamble would be annihilation. And if we want to remove any doubts in his mind, we could turn over some of our nukes to the South Korean government — which would have every reason to retaliate.

しかし金正恩にとっては、この手の賭けでしくじれば破滅的結果を迎えるものである。彼の疑念を解消するには、反撃するだけの十分な理由をもつ韓国に核を譲渡することも可能だ。

グラハム議員は戦争のコストを理解しているが、彼は「この戦争の終わり方を見失ってはいけない。勝つのは我々だ。北朝鮮ではない」としています。これに対し、チャップマン氏は以下の通り指摘し、コラムを締めています。

He forgets the stark truth of the modern age: In a nuclear war, everyone loses.

彼は現代のつらく厳しい事実を忘れている。核戦争では、全員が負けるのだ。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

朝鮮半島情勢は良くも悪くもデッドロック状態に陥っています。

韓国は米軍の圧倒的な軍事的支援(武器供与、合同演習など)を受けており、また韓国軍単体の能力も高いため、北朝鮮の貧弱な軍に対しては戦術的優位を保っています。

北朝鮮NBC兵器(核、生物、化学)を保有しており、またソウルを射程に収めた大量の長距離砲やロケット砲をDMZ(非武装地帯)に配備しています。

アメリカとしては、北朝鮮には大した資源もないうえ、朝鮮半島北部への米軍のプレゼンスを中国やロシアが嫌がるため、単独で戦争を仕掛けるメリットがありません。

もちろん、合理性だけでは動かないのが国際政治の常。

何が起こるか予想はつきません。

日本にできることとしては、

◇対外情報収集機関の設立

ミサイル防衛システム(BMD)の充実

の2点でしょう。

1点目に関しては、北朝鮮国内に居住する日本人拉致被害者救出のインテリジェンス収集のため。日本には自衛隊の特殊作戦群をはじめ、米軍のCAG*1やDEVGRU*2に劣らない実力を備えた特殊部隊が存在し、有事の際には北朝鮮に潜入し、拉致被害者の救出などを水面下で行う可能性があります。

しかし、特殊部隊の運用には、十分なインテリジェンスが不可欠*3。で、日本には対外インテリジェンスを収集する機関がありません。自衛隊情報本部(DIH)で北朝鮮の無線を傍受することは可能でしょうが、特殊部隊が実際に作戦を行えるだけのインテリジェンスは、現在明らかになっている情報本部のインテリジェンス能力ではおそらく収集できないでしょう。

特殊部隊のスムースな運用のために、日本も陸上幕僚監部運用支援・情報部別班をベースとした対外情報機関を設立すべきです。

ミサイル防衛システムの充実に関しては、詳しく説明するまでもありません。北朝鮮が発射する弾道ミサイルから日本の領土を防衛する必要があります。

第二次朝鮮戦争は、遠いイラクアフガニスタンでの出来事ではありません。

国会の前で平和だ何だと歌って踊ってなんとかなるものではありませんし、対話でどうにかなるものでもありません。

*1:Combat Application Group、戦闘適用群。「デルタ・フォース」との通称名が有名。米陸軍の対テロリズム特殊部隊で、現在もイエメンやシリアなど中東で秘密作戦に従事している。

*2:Naval Special Warfare Development Group、海軍特殊作戦開発群。米海軍特殊部隊、Navy SEALs内に存在する精鋭部隊で、表向きは戦闘や作戦の研究や技術開発を行うとされているが、実戦にも出動しており、今年1月にはイエメンでの作戦で戦死者を出している。旧名「シール・チーム・6」だが、元DEVGRU隊員マット・ビゾネットの著作を読む限りでは、DEVGRUという呼称もすでに使われていない模様。

*3:2011年のビンラディン殺害ではCIAが主導的に情報を収集し、DEVGRUが作戦を実行した。